奈良県北西部に位置する靴下のまち北葛城郡広陵町。技術の蓄積により多くの他者ブランドの靴下OEMを行っておられました。しかし、東日本大震災以降高額なものが売れなくなったこともあり、海外有名ブランドでさえ値下げをせざるをえなくなりました。
そのしわ寄せは昌和莫大小に押し寄せました。これまでいい素材を使っていたブランドも、廉価品と変わらないような糸を使い、高級タイツを編んで欲しいという要望に変わってきました。3足1000円で売っているような素材を使って、ブランドのタグをつけただけで高く売ることは、どこか消費者を騙しているような、もどかしさを感じておられました。
そして、ものづくりが好きであったことから「こんなものづくりでいいのか?」と自問自答されていました。
単なるお洒落な靴下やタイツなどのレッグウェアブランドではなく、「スポーツ」「トレッキング」「キャンピング」「DIY」などのスタイルシーンに応じて、製品を展開していくことを提案しました。
特にブランド立ち上げ以前から、奈良県や地元大学などと関学連携で進めていた「はだしソックス」という、裸足で走ることをサポートする破れない靴下をブランドの目玉にしました。現在はベアフットランニングだけでなく、ビーチスポーツやサーフィン、さらには子供の足育などに使用されるなど、裸足での活動を提案しています。
また、靴下のフィット性と、気化熱で熱を奪い取る特殊な糸の機能を利用し、アウトドアやグランピングなどで使用する「ボトルクーラー」という、靴下ではない商品も展開しています。そして新たなブランド名を、先代が「俺の」という商標を取得していたことから、歴史を引き継ぐが、もっと井上社長らしく、ファッショナブルに活動的にという意味を込めて「OLENO(オレノ)」とし、自分の、そしてそのブランドを所有することで自己表現ができるブランドを目指し名前をつけました。
単なる靴下としての提案ではなく、全体コンセプトを「Fashion,Function」という、活動したくなるファッショナブルさと、活動をサポートする驚きのある機能を兼ね備えた新たなOLENOというブランドを立ち上げるに至りました。